便秘と運動
2017.09.14
老化に伴う便秘の予防改善には、身体の状態にあわせたエクササイズを!
年齢を重ねるにつれて、食が細くなったり腸の機能が低下したりすることによって便秘の悩みは深刻になってきます。今回は、お年寄りでもできる便秘解消に役立つエクササイズをご紹介します。身体の状態にあわせて3種類のエクササイズを取り上げますので、高齢のご家族の便秘解消にぜひ行ってみてくださいね。
■足腰が元気で自分で歩ける方向けのエクササイズ
ご自身で歩けるお年寄りには、立った姿勢で行う体幹体操がおすすめです。
年齢を重ねると、運動量の減少や筋肉量の低下などによって腹筋や肛門括約筋の衰え、排便時の“いきむ”力が弱まってしまい、そのせいで便をうまく排出できないことがあります。このエクササイズを行うことで体幹が鍛えられるため、排便の際の“いきみ”がしやすくなります。
エクササイズのやり方は簡単です。
①両足を肩幅くらいに開いて立ち、下腹部に力を入れて腰を安定させます。
②5kgぐらいの重り(水を入れたペットボトルなどでOK)を左右の手、それぞれに持ちます。
③両腕を軽く広げたまま、左右にゆっくりとひねる運動を行いましょう。このとき、胴体が振れないように注意を。
この運動を左右セットで10回程度行いましょう。
■歩くのは困難だが、自力で椅子に座っていられる方向けのエクササイズ
自分で歩くのが難しいお年寄りの場合、立位で行うエクササイズは身体に過度の負担をかけてしまうおそれがあります。そこで、椅子に座ったままできるエクササイズを取り入れてみましょう。
自分で足を動かせる方には、座ったまま片方の足をあげて膝の下で両手を叩くというエクササイズを。これを左右の足で交互に、リズミカルに行います。また、椅子に座ったまま行進をしているイメージで足踏みをしながら両手を前後に振るエクササイズも効果的です。できるだけ足を高く持ち上げ、手は大きく振りましょう。このほか、ふたりで向かい合って椅子に座って互いに両手を前に伸ばして手を組み、相手のほうにグッと押し出す「押し合い腹筋」もおすすめです。
■自力で椅子に座っているのが困難な方向けのエクササイズ
自分で座位を取れない、ほぼ寝たきりに近い状態のお年寄りは、深刻な便秘症状に陥るおそれが高くなります。というのも、寝たきりの状態では全身の活動量が極端に少なくなるため、食べ物を消化吸収して便をつくり出すのに必要な胃腸機能が低下したり、便を排出するのに必要な筋肉が減少したりしてしまうからです。また、寝たきりの状態では腸にかかる重力が少なくなるため、腸が十分に機能できなくなってしまいます。
そこで、まずはベッドから起き上がり座位を取ることから始めましょう。背もたれを利用して介助しながら身体を起こし、腸に重みがかかるようにします。これだけでも腸に刺激があるため、腸の働きの活性化が期待できます。
また、仰向けに寝そべったままの状態で両膝を建て、足をできるだけ胸のほうに引き上げる運動も効果的です。胸のほうに強く引き上げるほど、腹筋を鍛えることができます。
このほか、大腸を外側から刺激するマッサージもおすすめです。下腹部で「の」の字を描くように手の平で指圧していきます。押したときに下腹部が1~2cm沈むようにするのが適切な力加減です。このマッサージは、身体の状態に限らず、年齢に問わず、腸を刺激して腸の働きを活性化させるのに効果的です。
いかがでしたか。今回ご紹介したように、身体の状態にあわせて便秘解消のためのエクササイズを行ってみましょう。お年寄りの便秘は、放っておくとさらに深刻化してしまうおそれがあります。健康のためにぜひ毎日の習慣に取り入れてみてくださいね。