便秘と健康
2017.09.25
あなたのお子さんは便秘でないですか?こどもの便秘は早期発見・早期対処が大切です。
お子さんが便秘で苦しんでいるご家庭は案外多く存在します。小学生6,917名を対象にした調査では、児童の18.1%(男児13.2%、女児24.1%)が週に2,3回未満の排便回数だったという報告がされています。また、女子高校生の便秘はなんと31.9%にも上るという報告もあります。
そう、大人だけでなく、子どもも便秘を起こすのです。しかも、子ども時代に便秘だと、大人になっても慢性便秘になりやすいと言われています。
■正常なこどもの排便回数は年齢によって異なる
健常なお子さんの排便回数は、
12ヶ月未満の乳児では一日1.8~2.9回
1-3才で1.4回
3才以上で1.0回
というデータがあります。
3才以上のお子さんで、排便が2-3日に1回以下という状態であれば、便秘を疑ったほうがよさそうです。
■小児性便秘が起こりやすい3つのきっかけ
小児性便秘が起こりやすいきっかけは以下の3つだと言われています。
- 乳児の母乳から人工乳への移行、もしくは離乳食の開始
- 幼児におけるトイレトレーニング
- 通学の開始や学校での排便の回避
小さい時のトイレトレーニングで親が失敗した時に怒ったことが原因でトレイ排便を避けてしまうようになったり、学校で冷やかされるのでトレイうんちを避けるようになってしまったり。これらが、こども達が便秘になる大きなきっかけなってしまうのです。
■いっときの便秘が一生の便秘になる恐れもある
こどもの便秘には早く気が付いてあげましょう。放置すると大人になってからの便秘体質に繋がります。
一過性の便秘だとしても、それを放置していると、悪いサイクルに陥って慢性便秘を生む原因になります。
「食事の変化や、通学開始などのストレスなどが原因で、便秘になる」
→ 「太く硬くなった便で痛みや出血をして排便に苦痛を感じる」
→ 「排便を避けるようになる」
→ 「便の腸内滞留が長くなり、ますます排出しずらい便になり、便秘が悪化する」
→ 便秘が慢性化する。
といった感じです。
こどもの時に便秘だと、大人(特に女性の場合)になっても便秘になる人が多いという報告があります。こどもの便秘は、お母さんが初期の段階で気づいてあげて対処することがとても大切です。
■こどもの便秘の対処方法
まず試したいのがお腹マッサージ。温めた濡れタオルを使ってお腹の緊張をとってあげてから、ベビーオイルやパウダー等を使って、お子さんのお腹(下腹部)を優しく時計回りで「の」の字を描くようにマッサージしてあげましょう。便秘の症状が酷いと、お腹の中に便が塊で感じると思います。そんな時に、無理に押し出すようなマッサージをすると、こどもは痛くて苦しいだけなので、無理なマッサージは禁物です。
次に試したいのが、綿棒による肛門の刺激です。ベビーオイルやワセリン、サラダ油やオリーブオイルでもいいので、オイル等で湿らせた綿棒で肛門の回りを優しく刺激してください。肛門の中に綿棒を入れることは、直腸を傷つけてしまう可能性があるので、避けましょう。
それでもダメな場合には、ドラッグストアーで購入できるこども用の浣腸や便秘薬を使うこともできます。こども専用の内服便秘薬でマルツエキス(第三類医薬品)というものがあります。1か月以上の乳児から使える、とても安全な内服薬です。
以上のような対処でも便秘の改善が見られない場合には、できるだけ早期に小児科医の受診することをおすすめします。こどもの便秘は早い段階での根治がとても大切です。小児便秘に詳しい専門医が全国各地いますので、「小児慢性機能性便秘」でネット検索してお近くの専門医を訪ねるのが一番です。
また、こどもが便秘にならないように、普段から食事の質には気を使いましょう。野菜・果物・海藻・豆類・イモ類など食物繊維が多く含まれている食事を摂ることは、こどもに限らず大人にとっても大切です。バランスのとれた食事で、親子で快便生活を!
こどもの便秘は苦しい症状を訴えることが少ないだけに、親がしっかり見てあげる必要があります。成人になってから慢性便秘に悩むことがないように、お子さんを便秘から守ってあげてください。