便秘と健康

2017.03.01

便秘と大腸がんは関係ない!? 研究結果を紐解いてみた

従来より、「便秘の人は大腸がんになりやすい」「便秘と大腸がんは関係がある」という説がありました。
そこで今回は、過去に「便秘と大腸がんの関係性の有無」の研究を行った、厚労省と東北大学の研究結果をご紹介します。また、ガンを疑うべき便の症状や、便秘が引き起こす大腸がん以外の病気もご紹介します。

■便秘と大腸がんは関係ある?ない?

実は、厚労省の研究チームの主張は、従来の諸説を覆す「便秘と大腸がん、2つの関係性はない

というものでした。その主張を立証するために、厚労省の研究チームは1993年から7年をかけて、40~69歳の男女約6万人に対して追跡調査を行いました。その結果、便通が週に2~3回しかない人と、毎日便通がある人との、大腸がんの発症率は変わらなかったという結果を発表しています。

その一方、東北大学の研究チームの主張は、「便秘で大腸がんの発症リスクが増大する可能性がある

というもの。その主張を立証するために、東北大学の研究チームは、1990年から7年かけて40~64歳の42,000人近くの人々に対して追跡調査を行いました。その結果、便通が1日1回の人に比べ、1回未満の人の大腸がん発症率は、1.35と高い数値を示しそうです。しかしながら、この調査結果だけでは判断しきれないとのことで、今後更なる調査が必要、とも発表しています。

このように便秘と大腸がんの関係の有無は、権威ある研究チームの間でも意見が分かれています。どちらが正しいかは一概には言い切ることが難しいため、便秘の自覚症状があったり、健康状態が気になったり、便の回数が変わった方は、早急に医療機関で受診することをおすすめします。

■黒色便と赤色便は大腸がんの赤信号!

便秘と大腸がんの関係性はグレーですが、便の症状でガンの危険性を測ることができます。特に赤い便と黒い便は要注意です。疑われるガンの症状を記すので、心当たりのある方はチェックしてください。

赤い便(血便)

大腸がん、直腸がんなどの可能性があります。

黒い便(タール便)

結腸がんの可能性があります。
また、腸内の「悪玉菌」増殖が原因で、黒い便が出ることがあります。

気になる場合は、早急に医療機関で受診してもらいましょう。

■大腸がんでなくても、便秘は怖い

便秘になると、体内で腐った便から有毒ガスなどが発生します。そのような有毒ガスは、腸壁から吸収され、血液に入り、血流とともに全身に回ってしまいます。有毒ガスが身体に行き渡ると、肌荒れ、ストレス、頭痛、肩こりなど、さまざまな身体の不調が発症します。また、便秘が原因で、強い痛みや吐き気、嘔吐を引き起こす「腸閉塞 になる危険性もあります。

このように、便秘をこじらせると健全な生命活動に支障が出てしまうことも少なくないのです。だからこそ、普段から、「食物繊維の多い食事 「水分をこまめにとる」「おなかをマッサージする」などをして、こまめな便秘対策をしましょう。